ノーベル平和賞受賞 ユヌス氏 PART1

先日、2006年度ノーベル平和賞を受賞した、
バングラデシュのグラミン銀行、
ムハマド・ユヌス氏の講演を聞きました。

ユヌス氏はバングラデシュで
貧困にあった人々を救うために、

「マイクロクレジット」(無担保小口融資)という
独自の思想とシステムを発案実施し、

一般の銀行がこれまで融資することのなかった
貧困の中にある人々に、
融資を行い経済的な自立や所得の向上を促した方です。

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分かりやすく言えば、
男性版マザーテレサ、といったところでしょうか。

マザーテレサは宗教を基盤として、
奉仕や救済といった視点で世界に貢献したのに対して、

ユヌス氏は貧困の中にある人々を、
経済的自立という形で後押しをする事で
バングラデシュ及び世界に貢献されました。

グラミン銀行が融資する相手は、
基本的に貧困家庭の主婦です。

女性であれば、
機織りができたり、鶏を1羽飼っていたりと、
何か自分にもできることを
日々の生活の中でやっています。

たとえば、鶏を1羽飼っていた人に対して、
日本円でいえば3000円くらいの融資をして、
3羽飼わせるわけです。

目的以外に融資されたお金を使ってはいけない規定です。

今まで、自分の家庭で食べるだけだった卵を、
隣近所の人に売ることで、
多少なりとも現金を獲得できる。

それによって、経済的自立につなげるものです。

今の日本では想像もできないかもしれませんが、
戦前の日本のような状況にあるバングラデシュでは、
言葉は悪いですが、
ただの主婦にはお金を貸すところはないのです。

ポイントは、

女性に貸すということ(98%の借主が女性)と、

主婦自身が自分でできる仕事を広げるために貸す、

ということです。

始めは、男性にも貸していたそうですが、
男性は金を持つと、
ギャンブルや本来の目的以外に使う人が多すぎる。

対して、
女性はお金を借りて仕事を拡大するために使って、
利益が出たら子供の養育費や食費にあてる。

たとえ3000円でも
自分や家族の人生を変えるために
有意義に使ってくれるからだ、と言います。

ユヌス氏は、35年前、
バングラデシュのチッタゴン大学で
経済学部長をしていました。

ユヌス氏は言います。

“私が貧困とかかわりをもったのは、
私の周りにあった貧困の存在が
無視できなかったからである”

“経済学の授業では
どんなに素晴らしい理論を展開し、
黒板の上ではどんなにどんなに難しい問題を解決できても、
それらは、現実にバングラデシュの飢餓、
貧困問題に何の解決にもならなかった”と。

そこで、ユヌス氏は大学の近辺の村の
貧困層に対して自腹で融資し始めたのです。

さらに言います。

“私は貧しい人々に自由を与えたかった。特に女性に”と。

この事が始まりとなり、
現在では、
バングラデシュ国内で800万人の女性に
融資を行う巨大銀行になったのです。

ユヌス氏は言います。

今、世界で金融経済危機と言われているが、
それを人のせいにするのではなく、
自分で何かをしなければならないのではないか、と。

世界の人々が、
今、自分ができることをすぐしようじゃないかと。

さらにバングラデシュで問題なのは、
この貧困が、何世代にもわたって続く、という点です。

抜け出せない、ということです。
グラミン銀行で融資を受けた女性は、
子供を学校に通わせなければならない、
という規定もあります。

今や、その子供たちは医者や弁護士、起業家となり
バングラデシュの社会を支えているそうです。

しかし、
そのお母さんは文字すら読めない文盲が多いのです。

その文字すら読めないお母さんが機織りをして、
一生懸命働いて自分を育ててくれたことを、
社会で活躍するようになった子供たちは知っているのです。

日本も今、所得格差、教育格差として、
親の世代からの貧困から抜け出させない状況が
発生しているといわれていますが、
程度の差こそあれ、人ごとではないと思います。

講演当日、
300人位の経営者が参加していましたが、
私は質問をしました。

日本に出店する予定はありますか?と。
(グラミン銀行は、ニューヨークにも出店しています)

ユヌス氏は言いました。

“今のところ予定はありません。
なぜなら、アメリカでさえ克服できていない、
何世代も続くような本当の貧困層は、
今や日本には存在しないからです。
そんな素晴らしい社会であることを、
認識された方が良いです”

“もし取り組みたいのであれば、
あなたが中心になって、
その組織を作ったらどうか?”とおっしゃっていました。

お読みいただいて、ありがとうございました。

来週は、
さらに具体的な取り組みを、ご紹介します。

つづく・・・。

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