今回も先週に引き続き、
2006年度ノーベル平和賞受賞
グラミン銀行総裁ムハマドユヌス氏の講演の話です。
グラミン銀行からお金を借りる時、
保証人は必要ありません。
「えっ!保証人ナシ?」と思ったでしょ。
保証人も付けずに
貧困家庭の主婦にお金を貸しているのです。
しかしながら、保証人に代わるものとして、
まず借りた女性の住む村内で
当人を含む5人の主婦ネットワークを作らせます。
これで借主以外の4人が借りた事実を
知ることができるそうです。
小さい村でのことですので、
返済しないわけにはいかないのです。
これによって、返済率は98%だそうです。
不良債権によって、
何兆円もの公的資金を投入されている、
日本のあるは世界の大手金融機関とは、
大きな違いです。
グラミン銀行の融資の仕方は、
支店に足を運んで借りるのではなく、
借りてる主婦のお宅まで、毎週集金に伺うそうです
(月払いではなく、週払いの返済だそうです)。
さらに言うと、
契約書らしい契約書も存在しないのです。
お金を借りていて契約書がない、なんて信じられますか?
その理由について、ユヌス氏はい言います。
“そもそも、契約書があったって、文字が読めないから、
何が書いてあるか分からないのだ”
とおっしゃっていました。
なるほど!
と思いました。
が、しかし以前までバングラデシュでは、
文盲の主婦に文字が読めないことを悪用した、
闇金融が横行していたそうです。
年率500~1000%の金利。
1万円借りたら、実に1000万円返さなければならない。
ひどい話です。
私が言いたいのは、
たとえ文字が読めない人に対してでも、
低額の融資をして、
それを返してくれるシステムが成立するという事実です。
これを支えているのは、
ひとえに、人と人との信用信頼なのです。
法的な書類よりも、人々が手をつなぐことで、
大きなビジネスが成立しているのです。
最近ではグラミン銀行のような、利潤を追求せず
社会的意義の大きいビジネスを行う企業の事を、
ソーシャルビジネス(社会的企業)と呼んでいます。
あの世界的企業のダノンヨーグルトも
栄養失調の多かったバングラデシュにあって、
人々の飢えと健康をまず改善する目的で、
グラミンダノンという会社を設立し、
市価の3分の1程度の価格で
高栄養ヨーグルトを提供しているそうです。
今回は、
同友会という経営者の会合の講演だったのですが、
その経営者に向かって、ユヌス氏は
“私は皆さんを評価します。
なぜなら、人を雇って、
その人を含めた家族の人生を守っているからです”
とおっしゃっていました。
私はこの会合の役員も兼ねていたため、
終了後、握手をさせていただいたのですが、
その手はやわらかで、
慈愛に満ちたあたたかいものでした。
お読みいただいてありがとうございました。
つづく・・・。