前回のプレジデント社社長の講演で、
他にもスバラシイ話がありますので、
引き続き、藤原昭弘氏の話をします。
49:51の理論です。
何かと言いますと、「負け組」「勝ち組」になる確率です。
負ける確率49に対して、勝てる確率51という意味です。
と申しましても、どんなものでも、
51%は成功するという意味ではないです。
あえて言うなら、
今の勝ち組も危うい状況の中で勝ち組である。
逆に今の負け組もちょっとしたことで、
勝ち組になれる、とういう意味です。
その差は、「2」しかないのだ、と。
たとえば、自動車会社の、T社とN社の比較。
つい半年前まで、T社は日本を代表する超優良企業で、
N社はがんばってる途中という評価でしたよね。
一見この圧倒的な力の差とも見えるものが、
本当は「2」の差しかないんです、と言うのです。
「んなことたあねえだろ!」
と思うかもしれませんが、
この事は両社のオフィスや工場の床に落ちている、
何気ないゴミの取り扱いで、判断できるというのです。
T社は、工場内でゴミ(鉄の削りカスとか)が落ちていると、
社長以下、従業員全員誰でも気がついた人が拾うそうです。
拾うだけでなく、
拾ったゴミがいったいどこから出たゴミなのか、
出た原因とその解決策を、
拾った当人が「考えるクセ」が付いているそうです。
つまり、鉄クズが落ちてはいけないところに
ゴミとして落ちている、ということは、
機械の不具合から始まって、人の動線のあり方や、
部材の更なる有効利用まで、
なぜ落ちていたのか、「考えるクセがついている」そうです。
そして、次から出ないように改善される、と。
一方N社は全社的に掃除をする係りの人や、
拾う係りの人がいるらしく、
鉄クズのゴミが落ちていても
「俺の仕事ではない」とばかりに無関心だそうです。
当然、そこに落ちていてはいけない鉄クズを、
仮に拾ったとしても、機械の不具合や、
人の動線のあり方まで「考えるクセは無い」そうです。
鉄クズのゴミの事を、
自分の事ととらえるか、
他人事ととらえるか
「心」「意識」の差でしかないんだと、言います。
この意識の差が、全世界の工場、
オフィス何十万人にもなると、
あれだけの差になってしまう、と。
納得です。
藤原さんは常々、いろんな決断をする時に、
この49:51のことを意識するそうです。
勝つか負けるか根本的なところは、どこなのか、と。
とはいえ、T社だって、大赤字に陥っているではないか!
との見方がありますが、藤原氏いわく
それは、あのT社でも全世界の従業員も含めてみれば、
49:51でゴミを拾わない社員の人の方が増えて
「考えるクセ」がついていない人の方が51になり
2だけ上回ってしまったのだと言っていました。
ここでT社イズムを発揮しないと、
本当にアメリカの自動車会社のように、
ダメになってしまうと。
つまり圧倒的な差で勝ち組、負け組に分かれているように見えたものが、
実は意識一つでどうにでもなってしまう、
という現実の事を言っているのです。
どこかで、傲慢だったり、他人事と思っていると、
そこにある、一見小さく見えるほころびが、
大きなことに直接つながっている、ということです。
お読みいただいて、ありがとうございました。
つづく・・・。