絵を描いて食べていける喜び 2

アクアは、当初高輪のマンションの一室からスタートしました。

いまでは想像もできないことですが、
十畳位の部屋に机を6個並べて、絵を描いていました。
朝から夜中まで、毎日毎日です。夜中もずっと
制作社員の隣の机で違う作業をしていました。

あたりまえか?

絵が描けないのだから。

営業回り、電話対応、資料探し、請求処理、金策、
新規プロジェクトの企画作業等、絵を描くこと以外のすべて。

ちなみに、全て手描きの時代ですから、カッティングや、
今マック上でやっている、合成やボード貼りは、手作業でよくやりました。

ああ描け、こう描けと言われるのは、イヤなものですが、
指導教育もしなければならなかったため、体得したことがあります。

それは、

描いている手元を見ないでも、作業しているその音で本人の状態がわかる。

ということです。

当社で使っている画材は、キュキュッとか、ササッとか音が出るものが多く、
その人のスピードや、日々の体調も、その人のタイプやクセまで、
描いている音で分かります。

例えば、いつもは速いスピード音の人が、そのリズムが遅かったり、
いつもと違うリズムだと、どっか体調が悪いのかな?という具合です。
しかし、遅くなる理由で一番多いのは、悩みながら描いている時です。
速い人は、描きながらも、ここまではこう描こうと決めると、そこまでは速いです。

そこまできたら、次どうするか考える。遅い人は、全行程悩んでいます。
だから遅くなります。ひと筆一筆の運びが遅いのです。

絵が描けないからこそ、見えてきたもの。

何千人もの絵描きの人、イラストレーターさんを見て知っていますが、
世間一般で言う、食べていける人
(家を持ち妻子を養っていけるレベルの人、という意味で)は、
100人に1人位しかいないのが現実ではないでしょうか。

残りの99人くらいはプロを名乗っていても、
他の仕事で現実には暮らしていたりします。
それでも、昔と比べると、絵を必要な場面は、増えています。
仕事の機会は増えているのです。

それは、デジタルコンテンツが台頭してきたからです。
本やポスター等紙モノが減ったことも影響はありますが、
それ以上にデジタル系の需要は旺盛です。

しかし、仕事単価としては、安くなっています。
仕事の数と幅は広がっているが、単価が安くなっているので、
トータルでは昔と状況はあまり変わっていないと思います。

絵を描くことを仕事にできる人は幸せです。

人生をかけて専門に勉強してきた人でさえ、結局、
趣味として終わる人がほとんどなのですから。
絵で暮らしていけたらいけたで、次なる不満や欲求も出てくるものですが、
食べていけるだけで、たいしたものなのです。

プロであることに「乾杯」です!!幸せです!!

世間が認めた人なのですから。

お読みいただいてありがとうございます。

つづく・・・。

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